飛騨の細道 168-「風情が消える」


■風情が消える

正面玄関の上に交差する木。
なにやら神社のような面構えである。

レンズを引いてみれば柱も壁もすべて斜めの丸太で組まれ、
どう見てもログキャビンにしか見えないのだが、
じつはこれ、JR高山線の小坂駅なのだ。

小坂町は御嶽山(標高3,067m)の登山口として栄え、
それを象徴するように駅は山小屋を模して作られたようだ。
(電話ボックス、トイレも木)
正面屋根の千木は、山岳信仰の山をイメージしている。

現在、小坂駅は無人化となり、
駅が簡素化される恐れがでてきた。
コンビニと同じようなどこにでもあるような駅舎に
なっては大変と、小坂町の有志たちが現状保存を訴えている。

国鉄がJRに変わってから、
土地土地の個性が消えてしまい、味があった駅名の字体や看板、
待合室も消えてしまった。
そういえば先日、高山線での車内販売も無くなってしまったとか。
その理由はコンビニだそうな。


写真/駅前はさびれたが、駅舎は健在である。