飛騨の細道 192-「ひと味ちがう」


■ひと味違う

葛飾北斎漫画に登場する足長・手長像が鎮座するかじ橋は、
町の中心に位置するだけあって、
市民だけでなく観光客の往来も多い。

橋のたもと西側には古くからみだらし団子の屋台があり、
東側のたもとには古くから派出所がある。
いまでは橋は観光名所となってしまったが、
市井の暮らしぶりがいまだ残るエリアである。

橋をはさんで両岸に団子やと派出所。
なにか妙な取り合わせだが、
このたび派出所がリニューアルした。

以前の派出所はこれといった特長のない、
モルタル造りの建物だったがレトロ感が漂い、
橋のある風景にしっくりとけ込んでいた。

数年前、耐震工事でかじ橋は付け替えられ、
古い派出所は観光高山にあわせた外観の意匠で、
蔵ふうに生まれ変わった。

さらにもう一つのリニューアル。
派出所からわずか30秒の場所に完成したコンビニも、
外観の意匠に工夫が施されている。
中が素通しというコンビニの外観とは打って変わって、
黒の縦格子で覆い隠されているのだ。

伊勢のおかげ横丁をはじめ、
景観を守るための景観への工夫は、
以前から観光地で行われていたが、
その背景に土地の息づかいを感じるからだろうか、
昨今のサービスエリアのコンビニのクールな建物とは
ひと味ちがうおしゃれ感がある。


写真/蔵のような意匠の派出所とコンビ二