飛騨の細道 181-「飛騨高山の端唄文化」


■飛騨高山の端唄文化

銀座を筆頭に赤坂や原宿、六本木というような名前が
全国津々浦々の飲み屋街にはある。

都会への憧れといおうか、
せめて名前だけでも同じにして
お洒落感にあやかりたいという地方人の切なる願望なのである。

ところが高山には
東海道宿場町になぞらえた名前の居酒屋や小料理店が
軒を連ねる横丁があるのだ。(昭和25年にできた)

地元人からは”東海道”という名前で親しまれているが、
発端は飛騨高山の祝い唄、”高山めでた”の返し唄として
唄われる”東海道(大津絵・高山節)”から命名したことに始まる。

”誰が命名したのか?”ということになるのだが、
それは居酒屋横丁の大家さんである。
とったかみたかの名前と較べればなんとも粋な発想なのだ。

春夏秋冬、お酒好きには季節は関係ないだろうが、
「袋井」「藤沢」「舞坂」「小田原」「日本橋」「大磯」などの看板が、
雪降る夜にぽっと浮ぶ様は演歌世界そのもので、
私は断然に冬がいい。


写真/雪舞う、居酒屋横丁”東海道”