飛騨の細道 49-「花言葉は「清純な心」


■花言葉は「清純な心」

「花の命は短くて苦しきことのみ多かりき」。
林芙美子の有名な詩だが、短命といわれる花のなかに蓮があげられる。
花は1日目の午前6時頃から花弁が開き、
4日目の昼にはすべての花弁が散ってしまうという短命さだ。

4日間のなかで花がもっとも美しくなり、やさしい香りを放つのが
2日目の午前7時から9時だというが、
はかないがゆえに蓮の美しさはさらに神秘なようすを漂わせる。

蓮の多くは池で育成されるケースがほとんどだが、
鉢で育てることもできる。
ところが花を咲かせるとなると池とは異なり、
条件は厳しくなかなか容易ではないのだ。

商店街の主人も例外なくこの壁にぶちあたり、
試行錯誤の末、田んぼの土を使うことで見事に開花をさせることができた。

商店街のアーケードで咲く蓮は、蓮池で見るのと違って
一見してミスマッチなのだが、
雑然とした世俗界のなかにすっと咲くことで
かえって清らかさが匂いたつ。

ちなみに花言葉は「清純な心」だという。


写真/商店街に咲く