飛騨の細道 47-「閻魔大王」


■閻魔大王

江戸時代の絵師によって描かれた地獄絵を参考にしながら、
二ヶ月の構想を経て描きはじめました。

この絵のポイントは地獄のなかに浮かび上がる「阿弥陀様」です。
絵は平面ですから地獄と同じ紙面で描くしかないのですが、
円を描き、その中に「阿弥陀様」の世界を描くことで、
ドラエモンの異次元ポケットのように極楽への入口を表現しました。

己の悪行を心から反省した人間と「阿弥陀様」のお慈悲による救いの手。
異なる次元の接点をどう描くか、ここがかなり難しいところなんです。
日々、地獄の世界ばかりを模索していますと、
精神心的にもかなりエネルギーをつかいます。
できるならこんどは極楽世界を描いてみたいですね。

一年近くの創作期間をへて、
先週、ようやく寺院の閻魔堂の壁面に設置された地獄絵。
いまでは作者の慈圓さんの手から離れてしまったが、
多くの人に見てもらうことによって、
絵の真価は生かされる。

(終)


写真/慈圓さんが描いた地獄の閻魔大王や鬼たち