飛騨の細道 30 - 「あれから38年」


■あれから38年
 
「美しい日本と私」をテーマにしたディスカバージャパンが
はじまったのが1970年。
それに足並みをそろえるようにして
女性雑誌のアンアンアやノンノンが創刊された。

いままでにない編集スタイルでいっきに読者をつかんだ両誌は、
倉敷の萩や飛騨高山などの小京都を紹介し、
若い女性の個人旅行の魅力をあますところなく伝えた。
やがて「アン・ノン族」とよばれる若い女性たちが
飛騨高山へとたくさん訪れるようになった。

それにあわせるように民宿ブームがおき、
家庭的なもてなしを前面に出す民宿が、
雨後の筍のように出現したのだ。

施設は旅館とくらべ落ちるが、
なんといったって宿泊代が安い。
温泉がなくても、
プライバシーがたもたれなくても、
料理が多少まずくても、
家庭的なもてなしが旅人を癒してくれた。

あれから38年。
きみまろ風にいえば、
観光地高山はずいぶんとかわった。

民宿の大半は姿を消し、
それにかわって朝食だけ提供するといった
ビジネススタイルのホテルが出現しはじめた。
その大半がよその大手業者。
そこへあらたな二つのホテルがこの春、くわわる。
いずれも安価な宿泊料金を売りにしており、
旅人にとってはうれしい限りだが、
ホテルや旅館は今まで以上の熾烈な戦いを余儀なくされる。


写真/左端のホテルはすでにオープン