飛騨の細道 104-「余情の美」


■余情の美

人の心を静寂にし、
日頃の雑念を払うための空間づくりに長けた日本人は、
「縁側」というものを発明した。

しかし今日では大きな縁側のある家は飛騨でも少なくなり、
東山の寺院や料亭をのぞけば、ごくごく限られたものになる。

たまにこうした場に出くわすと、
「縁側」と庭に対する憧れのような深層心理があって、
ここににすわってはるか彼方を茫洋と
眺めていたいような思いに駆られてしまうのだ。


写真/東山・法華寺の縁側