飛騨の細道 155-「外人に慣れる」


■外人に慣れる

数年前から外国観光客の勢力図が
大きく変わった。
GNPに比例するように、
高山へ訪れる中国や台湾人が、西欧やアメリカを抜いたのだ。

彼らは日本人の観光客とちがい、
おしなべて声のトーンが高く、よくしゃべる。
そのうえ観光施設や景勝地では、
カメラを持って元気よく走り回るのだ。
(団体旅行というのも要因ではあるが)

閑話休題。
アジア人の好奇心について

明治11年、イザベラ・バードというイギリス人のご婦人が、
馬や人力車を使って東京から東北をぬけ、
蝦夷までを旅した旅行記がある。

文中に多く登場するのが、野次馬の多さだ。
旅館に泊れば障子戸のあちこちに穴があき、目がのぞく。

さらに庭の垣根の上や屋根には群衆がのぼり、
外を歩けば砂糖に群がる蟻のような有様と書かれていた。
東北ではなんと2000人近い野次馬に囲まれたそうな。

宿の主人が困り果て、巡査をよび、野次馬を追っ払うのだが、
彼らは口々に「一生に一度見えるかどうか。
あんだけ外国人を独り占めして見るなんぞはけしからん」と
逆に巡査に喰ってかかったとか。

イザベラ・バードいわく。
「私を見る日本人はどれもが口を開け、だらしなかった」と。


写真/台湾人に招き猫は珍しい?