飛騨の細道 139-「色」


■色

二度目の夕焼け

夕ぐれの太陽が
薄暗い谷を素通りして
雪の飛騨山脈をオレンジ色にする

雪山がひとまわり大きくなって
赤くもえる頃
コバルト色の空は急に衰えをみせる

夕焼けが終わって
灰色の山脈が小さくなって
つめたい空に消えかかる

もうあたりが見えなくなる頃
うすずみの空に
赤い山脈がぽっかり浮かぶ

二度目の夕焼けに
ためいきつくのがくせになってしまった

詩/大森清男

通常の夕焼けのあと、いったん色が消えてモノトーンになるが、
しばらくすると日本海に反射した夕日が再び、飛騨山脈を照らす。
通常の夕焼けとは異なり、深みのある紫色が北アルプスを包む。
こうした現象は、冬に1〜2度あるかないかという貴重なもので、
高山市民はこぞってビューポイントに訪れる。


写真/スカイパークに集まる市民