飛騨の細道 9 - 「ナツメの実。」


■ナツメの実。
 
この時期、近在の農家にいくとナツメの実が
すずなりになっている。
飛騨の人には当たり前の光景だが、
朝市に並ぶ実を見て旅人は首をかしげるようだ。

ナマで食べると甘さと酸っぱさが混じりあった味で、
どちらかというと林檎に近い。
樹齢の長いナツメの木ともなると、
二階の屋根のひさしをゆうに越す。
ところが見た目より木は頑強ではなく、
幹に足をかけようものなら根元からへし折れてしまい、
あぶない。

小さい頃は棒きれを投げ、うまくいけば枝付きで実は採れた。
当時はおやつ替わりにナツメを食べ、
ほかには岩梨やグミも食べた。
今ではナツメや岩梨は高級料亭の器に盛り付けされ、
珍味としてもてはやされている。