飛騨の細道 73-「町がきりりっとしている」


■町がきりりっとしている

商店街とよばれるところは、
凝った街路灯を取り付けるとか、
きれいなタイルを遊歩道にはるとか、
花を飾るとか、ベンチを置くとか、
これでもかというくらい、
「つけくわえる」運動を熱心にする。

それにくわえて、むかしからある電柱や
とぐろを巻く電線、さらに大小の看板が、
「つけくわえる」運動にさらにくわえられ、町は乱雑化する一方だ。

この写真の通りも以前は電柱が乱立し、
美しい町家の景観には不釣合いだった。
そこで高山市が音頭をとり、二年をかけ電柱を撤去。
電線は地下に埋め、通りはすっきりとした。

淡白で簡素な美しさを取り戻すために、
市は多くの出費を要したが、
そのお蔭で屋根の上には、白くて美しい空間が誕生した。

この空、「つけくわえる」ことでは
けっして生まれない余白である。


写真/ここを歩いた先には日下部や吉島の町家がある。