飛騨の細道 97-「白い秋」


■白い秋

石山の石より白し秋の風
(石山の石の白さよりも、秋の風はもっと白い)

秋風には色がある。
「身にしみる色」がある。
そう歌ったのは松尾芭蕉だが、
私も秋風の色を求め、となり町の国府町瓜巣へでかけた。

遠くからみると定規ではかったような黄色い四角が
山間を埋めていた。
ところどころ歯抜けのようになっているのは
稲刈りが済んだところだ。

刈った稲はお天道さまの下で自然乾燥される。
近づくと家族が総出で「はさ掛け」に精を出していた。

息子夫婦が刈った稲をたばね、父に渡すと、
父は稲を「はさ木」にかけ、
ほどよいタイミングでぐぃっと絞りこむ。
それにあわせ、次の稲を息子が放りなげる。

お嫁さんはさしずめキャッチャーで、
ノックをするコーチに球を渡すようにして旦那に稲を放る。

寸分と違わない三人の動きの妙にみとれていると、
はさ木はあれよあれというまに稲で埋まっていった。

さらに白い秋は蝶がとまっているコスモスをもゆらし、
季節が終わってしまった桃の畑に長い陰を落とす。

あっちの畑、こっちの畑と白い秋を追いかける私。
日は知らぬ間に傾き、
秋の夕暮れの寂しさが足下に忍び寄っていた。


写真/国府町瓜巣にて